きょうこの頃



2015年9月22日(火)

 アーネスト・ヘミングウェイの後期の短編『戦いの前夜』読了。
 『キリマンジャロの雪』よりも印象的だった。
 スペイン内戦の共和党軍の戦車兵の戦いの前の夜。
 町で作家と飲み歩いたり作家の部屋でサイコロのギャンブルをしたりするのだからずいぶん自由である。

「おれは、死ぬのなんかまったく平気なんだ」彼は言った。「くだらんことだよ、死ぬってことは。ただ、もったいないだけさ。間違った攻撃で人材を失うのは、もったいないだろう。いまじゃ、おれは戦車を自在に操縦できるんだ。時間さえあれば、優秀な戦車兵を養成できるしな。もうすこしスピードの出る戦車があれば、いまみたいに、モタモタしているところを対戦車砲にやられることもない。なあ、ハンク、いまの戦車は、おれたちが頭に描いたような戦車じゃないんだ。こっちに戦車があればなあ、とみんなが思ったときのことを覚えてるか?」
175p





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